ガラス・建装時報 社説より抜粋
米国発の金融不安が世界を駆け巡っている。
日本ではトヨタなどの自動車産業、シャープ、東芝、NECなど、
家電・エレクトロニクス産業をも不況に追いやっている。
気になる建築産業は、
他の産業より一足先にマンションなどを手掛ける新興デベロッパーの倒産、
そのあおりを受けた中小ゼネコンの倒産が昨年春から始まっ ていた。
これは耐震偽造を受けての建築基準法改正の影響が大きいといわれる。
それが一段落しかけた矢先の米国の金融不安だ。
一番心配されるのは国民の消費 行動の減速だ。
すでに車や家電に表れている。
当然一番高い買い物と言われている住宅も問題になる。
昨年から、東京など各都市でマンションの売れ残りが発 生、一部では安売りも出でいる。
これは連日新聞の折込として配布されるマンションのチラシを見れば明らかだ。
東京都心、横浜だけでも、一昨年から超高層マ ンション(30~40階建て)があちこちに建設された。
今も建設中のプロジェクトは多い。
果たして、これらがすべて売り切れるのか疑問だ。
それはこれからマンションをローンで購入しようとしている若者層が、
「将来の不安で買い控えしないか」という心配だ。
戸建住宅、特に建売分譲もここ数年は順調だったが、ここで大きなブレーキがかかるのではないかと危惧される。
商業ビル、官庁関係のビルの分野も疑問が残る。
経済が活発になると言う見通しがあってはじめて賃貸ビルや商業ビルが建設されるわけで、現
状だと一部上場 企業も新しい建物を建てる元気は無さそうだ。
官庁も、地方都市も財政状況が悪い為、学校、役所、公民館などの建物を建てる余裕は無い。
ゼネコンなど建設業 界は2~3年先どうなるのか、非常に心配だ。
ビル物件、住宅、マンションの建設戸数が相当減少するのは必至だ。
そうした時、ガラス工事(サッシを含む)を担当する工事業界は非常に厳しいところに追いやられる。
この危機を乗り切る方法としては、
従来の「おれが、おれが」では駄目で、
仲間同士で仕事を分け合う「ワークシェアリング」が重要なポイントとなりそう だ。
景気が回復するまで、少なくともこの2~3年は、仕事を「奪い合う」よりも「分け合う」精神を大事にしてもらいたい。
2月8日ガラ ス・建装時報より